T邸-02 基礎(前編)
①地盤改良
木造の建物を建てるとき、建物本体の構造体が乗る土台のようなものを作ることが一般的です。これが「基礎」です。基礎の形状は様々ですが、基本的には地盤の上に乗っています。当然、その地盤がフワフワしていたり、沈下してしまうようでは、その上に乗る基礎もろとも建物は傾いたり、全体が沈んでしまいますので、敷地の土壌の状態を調べる必要が出てきます。それが「地盤調査」ですが、今回は「スウェーデン式サウンディング試験」という方式で調査を行いました。結果、そのままでは敷地の地盤に十分な「硬さ」が無かったため、「柱状改良」という方式の地盤改良をすることになりました。これは、ドリルで敷地に縦長に穴を掘りながらセメント(「ミルク」と呼ばれる)と土壌の混ざったの硬い杭のようなものを作る方法で、地盤調査により分かっている「硬い地盤」のある深度に十分に到達する深さまで掘り進められます。(写真1)そのような「硬い杭」が基礎の下の力が集中する部分に均等に配置されていきます。杭の上部はきちんと基礎の底と水平な面で当たり、力が無駄なく伝達するように、コテで水平にならし、レベルを確認します。(写真2・3)
【今回の監理ポイント】杭の天端が正しい高さに揃っているか、水平になっているかをチェックしています。
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②捨てコン・墨出し
基礎を打設する前には、いくつか下準備が必要です。まずは基礎の位置=建物の位置を正確に割り出すこと。そして、上に乗る建物を保護するために土壌からの湿気が上がってくること防がなくてはなりません。
位置を正確に出すことを「墨出し」といいますが、下が土のままでは線は引けません。そこで必要になってくるのが「捨てコン」です。捨てるコンクリートの意味ですが、本来のコンクリートの用としての強度を出すためではなく、墨出しなどの作業をしやすくするための補助的な使い方ということが含意され「捨て」るという表現が使われているのでしょう。(写真1・2)
また、「捨てコン」の間からビニールが見えていますが、これは湿気が建物本体の方へ上がるのを防ぐ働きをします。(写真3)
【今回の監理ポイント】設計通り正確に「墨出し」がされているか、隣地や前面道路との境界線からの距離は正確か、ビニールに破れがないかということをチェックします。
③配筋検査
いよいよ「捨てコン」の上に鉄筋コンクリートの基礎が打設されるべく最終段階に入っていきます。今回の基礎は「ベタ基礎」という形式の基礎で、土台の下にだけ基礎をつくる「布基礎」とはことなり「ベターっと」建物全体に基礎が打たれます。
写真で黄色く見えている板が「型枠」で、縦横に細かく張り巡らされている棒状のものが「鉄筋」です。(写真1)ここにコンクリートを流して、鉄筋コンクリートにするわけですが、どうしてわざわざそんな面倒なことをするかといえば、もしコンクリートだけで構造物を作ったら、押しつぶされる力には強いけれど、引っ張られる力には非常に弱い脆い構造物になってしまいます。そこで、引っ張られる力にはとても強いけれど、逆に押しつぶされる力には弱いという正反対の性質をもつ鉄筋を組み合わせて、両者の弱点を補い合うのが「鉄筋コンクリート」(Reinforced-Concrete:補強されたコンクリート)です。これを略した「RC造」などという用語をときどき耳にされることがあると思います。
【今回の監理ポイント】構造設計士さんに作成していただいた「構造図」に記載されている通りに鉄筋が配筋されているか、型枠が寸法どおりに正しく組まれているかどうかをチェックしています。(写真2)
(後編につづく)
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