T邸-03 基礎(後編)
④コンクリート受け入れ・打設
基礎の型枠と配筋が正しく準備されたところで、コンクリートを流し込んでいきます。コンクリートは時間とともに硬化していくのでコンクリート打設は時間との勝負。早朝から次から次へとミキサー車が到着し、休むことなく流し込みます。
一台目のミキサー車が到着するとき、「受入検査」をします。運転手から出荷伝票を受け取り、コンクリートの配合が図面の指示どおりであるか、生コン工場から出発してから時間が経過しすぎていないかをチェックをします。間違いがなければ、ミキサー車とともに現場に到着した試験官に立ち会い、コンクリートの軟らかさを測定する「スランプ試験」・「空気量測定」・「塩化物試験」を手早く行います。それらの測定値が規定の範囲内であってはじめてコンクリートを受け入れを許可することができます。(写真2・4)
GOサインが出てからはひたすらコンクリートを流し込みます。バイブレーターという機械をつかって締め固めがされています。(写真3)
また、今回使用したコンクリートが本当に十分な強度を持っているか確認するために、基礎に使うものと同じコンクリートで「試験体」を作成します。本物の基礎で実験するわけにはいかないので、この試験体を使って4週間後に十分な強度が出ているかどうかを見ます。それが合格してはじめて建物の躯体を基礎の上にのせても安心ということができます。(写真2)
⑤基礎完成
基礎のコンクリート打設から4週間の養生期間を経て、型枠が外れた姿です。コンクリートの上部からポツポツと飛び出しているのは、「アンカーボルト」といって、上に載る建物の骨格である土台や柱が動いたり浮いたりしないように固定するための金具です。
写真で基礎が一部水平方向にせり出しているのがわかると思います。こういうふうに片持ちの構造を建築の世界では「キャンチレバー(cantilever)」と呼んでいます。実はこの上に建物の本体が載ってくるのですが、完成した時に地面から浮遊しているように見せるための仕掛けです。この上に建物がのることを想像するとちょっと心配をいう方もいらっしゃるかもしれませんが、もちろん構造設計者に計算で裏付けをいただいているので安心です。
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